iTunesの作品・楽章タグの有効性

去年あたりから、iTunesで編集できる新しいタグが追加されています。
作品、楽章名、楽章番号です。
最近まで気にならなかったのですが、食わず嫌いも良くないと思い、試してみて思ったことをまとめておきます。


■メリット:アルバム表示がわかりやすくなる


上がタグ情報の付加前の”曲”表示、下が付加後の”作品と楽章”表示でアルバムを見た時の様子です。

  • 作品と作曲者タグの情報が付加される
  • 曲名の表示が、楽章番号+楽章名の表示に置き換わる

ことになります。付加後の表示はまるでCDの裏表紙みたいで、スッキリしていますね。違いが分かり辛いのは、私が予め曲名を編集・管理しているためです。

単純にCDをリッピングした直後の場合、

Franck: Symphony in D minor: - 1. Lento. Allegro non troppo
Franck: Symphony in D minor: - 2. Allegretto
Franck: Symphony in D minor: - 3. Allegro non troppo
Chausson: Symphony in B-flat, Op.20: - 1. Lentp-Allegro vivo
Chausson: Symphony in B-flat, Op.20: - 2. Trés Lent
Chausson: Symphony in B-flat, Op.20: - 3. Animé 

のように、重複した情報で見るに耐えない曲名と表示になっていることが多いです。

この状態に、タグ情報を付加し、”作品と楽章”の表示を使用することで

Symphony in D minor // 作品タグの情報
Franck, César (1822-1890) // 作曲者タグの情報
 I. Lento. Allegro non troppo // 楽章番号 + 楽章名タグの情報、以下略
 II. Allegretto
 III. Allegro non troppo
Symphony in B-flat, Op.20
Chausson, Ermest (1855-1899)
 I. Lentp-Allegro vivo
 II. Trés Lent
 III. Animé

のように表示を見やすく変えることができます。
尚、iTunes上の表示の他にiPhone・iPadのミュージック.app上の表示も変わるそうです。今まで曲名の管理しておらず、主にこれからクラシックを聴き始める方には良いかもしれません。


■デメリット1:曲名表示にしか対応していないデバイス/音楽再生アプリでは無意味

“作品と楽章”タグによる整理だけをやっても、曲名(ファイル名の一部)は弄る前と何も変わりません。iTunes上でトラック毎の”名前”は変わりますが、それは作品+楽章番号+楽章名タグの情報を見せているだけで、実ファイルのファイル名は変わりません。現に”名前”の直接編集ができなくなります。試してみてください。

曲名表示にしか対応していないデバイス(AK120IIとか)で見ると、折角作品・楽章タグで整理しても見辛いままです。意味がありません。曲名(ファイル名)も編集するはめになり、結局2度手間じゃないか!!とキレるユーザが出てくるんじゃないでしょうか。

iTunesとiPhoneしか使わない人であればいいのでしょうが、それにしてはリスクがデカすぎませんかね。


■デメリット2:カラムブラウザの分類項目に作品タグが使えない

私にとってこれが最も致命的です。
クラシック音楽だけでトラック数が1万を超え、アルバム数が1500に近くもなってくると、曲表示からのカラムブラウザを使うことが一番多くなります。曲を何となく探す時は、作曲者タグ→グループタグ(現在、作品名を入れているタグ)→アーティスト…を辿るのですが、作品名を司るタグが分類に使えないのは論外という他ありません。

おまけに今現在においても、Appleはこんな記事こんな記事を公開している有様。
Appleはいったい何がしたいんだ? 余計な機能をつけてユーザを惑わすのは止めて頂きたい。結局グループタグに作品名を入れろよ、って事でしょうが、それじゃやっぱり作品タグの意味ないじゃん


■デメリット3:曲表示での各トラックの名前が改悪される


上の方でも書きましたが、既に曲名を元に分類整理した身からすれば、下手に名前を弄って欲しくありません。アルバム表示が素晴らしいだけに、曲表示のトラック名には心底がっかりしています。こんな名前じゃ、整理していないのと同じじゃないでしょうか。


■結論

Apple様へ:
クラシック好きのための新機能を実装して頂くのは嬉しいのですが、中途半端なことをするぐらいなら辞めて欲しいです。アルバム表示のデザインは素晴らしいです。デメリット1は我慢できます。百歩譲って3も何とか。

ですが2だけは絶対に許すことができません。エンドユーザを馬鹿にしているとしか思えません。もっとよく考えて、実用に叶うかどうかよくテストしてからリリースして下さい。お願い致します。

PS: iTunes Ver. 12.7.0.166

上乃木 燕二
クラシック音楽のブログを運営しています。後期ロマン派〜新ウィーン楽派がメイン。交響曲ネタが多目。オペラ・室内楽を扱うべく奮闘中。元トロンボーン奏者。チェロやりたい。マーラーとテンシュテットが心の師匠。