マーラーの交響曲第6番の個人的名盤

マーラーの交響曲第6番は、全曲通して聴き終わった後に鬱な気分になる曲のNo.1です。”悲劇的”という俗称に加え、明→暗というテーマからもたらされる躁鬱感は、チャイコフスキーの6番”悲愴”以上のものがあると私は思います。4楽章の”最後の一撃”は幾ら来ると分かっていても、いつ聴いてもビクッとします。

そんな訳もあって、私はマーラーの6番はそこまで聴き込んでいません。選んだこの5枚さえあれば私は満足です。テンシュテットやバーンスタイン以外のものも含めて、マラ6の個人的な名盤をご紹介します。


■テンシュテット/LPO(1991年ライブ盤)

私が初めて聴いたマーラーの6番はこのテンシュテット盤です。1楽章冒頭の殺気の篭った暴力的なコントラバスの時点で既に一撃を喰らいます。この曲を支配する明→暗というテーマはあまり感じさせません。終始悲劇的なのです。迫力があるおかげで何とか最後まで聴けますが、そう何度も繰り返し聴く気にはなれません。半年に1回ぐらいの頻度で聴ければそれで私は満足です。


■バーンスタイン/VPO

テンシュテット盤比べたら非常に分かりやすいのがバーンスタインの後年盤です。テンシュテット盤が異常過ぎるのです。マーラーの6番として聴くなら第一にこの1枚を私は採ります。曲調も相まって、バーンスタインの粘々しさはそこまで感じないのも魅力的です。普通の人からしたら頭がおかしいと思われるかもしれませんが、私のマーラーの6番の定番は間違いなくこれです。


■パッパーノ/聖チェチーリア国立音楽院管

正直、マーラーの6番に対してはそこまでの迫力や狂気じみた殺気は必要ないとも思います。そういった意味においてこのパッパーノ盤は、実にバランスが取れた名盤だと思います。後に紹介するブーレーズ盤と比べても人間味があり、マーラーの世界に入りすぎてはいないものの、十分な迫力を保っていると思うのです。安心して聴くことができる貴重なマラ6だと思います。


■ブーレーズ/VPO

バーンスタイン盤を聴いた直後だと、このブーレーズ盤の演奏は違った曲のように聴こえて仕方がありません。よくよく聴き直してみると、ブーレーズの冷静で知的な解釈はマーラーの6番には相応しいと思えるようになりました。

ここまで冷静に演奏してみても、マーラーの6番は如何にケバケバしく悲痛的な響きがするのかが良く分かるのです。パッパーノ盤が世に出るまではこちらも良く聴きました。これはこれでアリだと思います。


■ブーレーズ/ルツェルン祝祭アカデミー管

ブーレーズ/ウィーンフィル盤の地味過ぎるウィーンフィルに納得できないのであれば、このルツェルン祝祭盤があります。ブーレーズの基本的な解釈はウィーンフィル盤とそこまで違いがないように感じますが、こちらの方がやや分かりやすいと思います。こちらも至って冷静なマラ6です。若くて優秀なアカデミーの奏者達の悲劇的な嘆きが、思わず聴こえてきそうになる1枚です。

上乃木 燕二
クラシック音楽のブログを運営しています。後期ロマン派〜新ウィーン楽派がメイン。交響曲ネタが多目。オペラ・室内楽を扱うべく奮闘中。元トロンボーン奏者。チェロやりたい。マーラーとテンシュテットが心の師匠。